今まで、単純にイタドリを忌み嫌っていました。
イタドリはタデ科ソバカズラ属の多年生です。非常に繁殖力旺盛で、定着すると他の草木を締めだしてしまうほど。「世界の侵略的外来種ワースト100」にも指定されている植物なのだから。
しかも、けっこうグロテスクな見た目、口に含んだときの酸っぱさ、どうやって調理したらいいのかまったく想像ができないことなどがあいまって、避けてきました。
ところが、今年初めて調理してみたら、さすが郷土料理として全国各地で食べられているものだけあって、とてもおいしい。これは積極的に取り入れようと思いまして、いろいろ調べてみました。
「かてもの」
草丈は30 – 150センチメートルほどになる大型の植物です。
春になるとタケノコのように赤色の新芽が地上からにょきにょきと生えてきます。
野のもの、山のものは、手間はかかりますが、お金はかかりませんからね。
古くから「ノカンゾウ」「イタドリ」「スベリヒユ」「ノビル」は、糧物(かてもの)と言われ、主食である穀物とともに炊き合わせを行ったり、おかずにしていたそうです。
飢饉などで食糧不足に陥ったときには、主食を節約するための代用食となる食べ物(救荒食物)として利用されました。
江戸時代に米沢藩が飢饉対策で作成した「かてもの」という本には、「茎の太く、葉の大なるをどうぐひという。よくゆびき麦か米かに炊合てかて物とす」と書いてあるそうです。
生えている環境さえ、目利きできれば、問題なしです。きれいなところで採取できれば言うことなしですね。


イタドリと民間療法
新芽に含まれる酸味には肝臓の働きを助ける作用があります。
利尿作用があり排出を促します。
止血作用や鎮痛効果があると言われています。
新芽は痛みをやわらげる、血を止めるなどの効能があり「痛みを取る」薬=「イタドリ」として、使われてきました。
乾燥させた根は生薬に利用され、便秘、月経不順など女性に嬉しい効能がありますが、注意も必要です。
根には「ポリゴニン」や「エモディン」の他、強い抗酸化作用で知られる「レスベラトロール」という薬効成分も含まれています。
レスベラトロールは多量に摂取すると、腹痛、下痢などの副作用があらわれることがあるそうです。妊婦さん、授乳期の方、子宮内膜症など女性特有の疾患がある場合には、副作用が心配ですから控えた方がいいと言われています。
下ごしらえ
一本一本、皮を剥いていきます。
大量に保存する場合には、塩漬けです。
樽にイタドリ、塩を入れて重石をして保管します。樽に汁が出てきたらイタドリが隠れるくらいに米ぬかを入れて、重石を載せます。米ぬかをいれるとイタドリのコリコリした触感が残るそうです。
多くも少なくもない程度の中途半端な量、しかも樽もない・・・そんな場合は、ジップロックで塩漬けです。空気を抜いて重石代わりにしています。
イタドリを粗塩でこすって、ジップロックで灰汁抜き中です。冷蔵庫で一週間やってみます。うまくいくかな? pic.twitter.com/K9tZWYrYWP
— imomushinouen (@imomushinouen) April 29, 2020
すぐに食べきってしまう場合には、茹でてから水につけてアク抜きします。
イタドリ(スカンポ)の下ごしらえしました。 pic.twitter.com/zk0wXnPWB2
— imomushinouen (@imomushinouen) April 25, 2020
クックパッドで調べた方法がとても簡単でおいしくいただけました。ありがとうございます。
気を付けて欲しいこと
イタドリは、生のまま口に含むと、とても酸っぱいです。
これは、シュウ酸の酸っぱさです。
ホウレンソウを食べたあと、葉がキシキシすることがあると思いますが、これもシュウ酸の影響です。
シュウ酸は体内でカルシウムと結合すると結石になると言われています。
ホウレンソウを茹でた後、水でさらして、さらに体内のカルシウムと結合する前にじゃこやかつおぶしなどのカルシウムと一緒に和えておけば、体内に入る前にシュウ酸はカルシウムと結合してしまい、結石になることなく便となって排泄されてしまうそうです。
クリーム煮なども、牛乳のカルシウムと先に結合されてしまうので、結石の心配をしなくて済みますね。
また、シュウ酸は水溶性です。油でほうれん草をコーティングすると、唾液内のカルシウムとの結合を防ぎえぐみを抑えることができます。
イタドリも、シュウ酸が多い山菜なので、下ごしらえの際には、ニガリを含んだ粗塩で軽くこするなど、ちょっと気を付けたいですね。
参考までに、Wikipediaを貼り付けておきました。
若い茎は柔らかく、春頃の紅紫色でタケノコ状の新芽は食用になり、根際から折り取って採取して皮をむき山菜とする。また、やわらかい葉も食用にされている。新芽は生でも食べられ、ぬらめきがあり珍味であると形容されている。かつては子供が外皮をむいて酸味を楽しんだ。この酸味はシュウ酸で、多少のえぐみもあり、そのまま大量摂取すると下痢をおこす原因になり、健康への悪影響も考えられ注意が必要となる。(中略)高知県では、苦汁や苦汁成分を含んだあら塩で揉む。こうすると、苦汁に含まれるマグネシウムイオンとシュウ酸イオンが結合し、不溶性のシュウ酸マグネシウムとなる。その結果、シュウ酸以外の有機酸は残したままシュウ酸だけを除去できる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%89%E3%83%AA
イタドリをおいしくいただく
塩漬けしたイタドリを水で戻し(塩出しし)、油炒めで食べるのが定番です。メンマのような食感と味わいになります。ラーメンの具、パスタの具にも合いそうです。万能具材です。
イタドリのきんぴらです。歯ごたえはネマガリダケ的でした。 pic.twitter.com/1sOBs9Aq3h
— imomushinouen (@imomushinouen) April 26, 2020
穂先は生のまま天ぷらにできます。
さっと湯がいて水にさらしアクを抜いてから、お吸い物にするレシピもクックパッドにありましたよ。
イタドリの穂先の天ぷらです。 pic.twitter.com/WezxWKddBv
— imomushinouen (@imomushinouen) April 29, 2020
初夏のイタドリは土手でボーボーと伸び、竹のように硬くなって食べられませんが、茎にナイフを入れて伐ると、中から白い虫が出て来るそうです。これの虫は渓流釣りなどで岩魚を釣るエサになるそうです。トオチャンにも教えなくちゃ!


それでは、happyベジタブルな毎日をお過ごしくださいませ。