暑い夏の終わりを感じるようになった頃、夏の疲れが腎機能に表れてしまうことがよくあります。
動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、倦怠感…。
夏の酷暑で、脱水気味の日々の積み重ねにより、血圧が低下すると、毛細血管の末端まで酸素や栄養が届かなくなります。その結果、腎臓の機能も低下してしまうといいます。
腎機能が低下する原因はほかにもいろいろありますが、特に日常的な動物性脂肪のとりすぎがあります。
腎機能の改善にお勧めなのが「干し大根」です。大根には体の中の古い脂肪を溶かし排出する作用があります。
今回は、大根と、干し大根のことを調べたいと思います。


夏の疲れと腎機能
何となく重だるい…夏の終わりによく陥りがちな症状です。
どうやら腎臓がお疲れのようです。
少し調べてみました。
東洋医学研究所附属クリニック医師(川嶋 朗氏)の記事を引用します。
夏は血管病の季節です。夏場は大量の汗をかくため、血液の水分が失われやすくなり、水分を失って固まりやすくなった血液はどろどろとした状態になります。
その結果、血流が悪化し、脳梗塞を引き起こす危険性が高まるのです。近年の研究から、急性心筋梗塞も夏に起こりやすいことが分かっています。
さらに、夏の病気として注意すべき疾患に、慢性腎臓病(CKD)が挙げられます。
https://365college.press/special-feature/tounyoujinzou/296
腎臓は腰の上に左右1個ずつあります。そのあたりの鈍痛。腎臓のお疲れかもしれません。
腎臓の大きさはレモン一個分です。
腎臓の主な働きとしては、血液のろ過、余分な水分や老廃物の排泄です。
その他にも、ミネラルバランスや血圧の調節、造血、骨形成に関わるビタミンDの活性化などがあります。
腎臓の機能が低下して水分が多くなると、むくみが生じます。
造血作用に不具合が生じると貧血、血圧の調整ができなくなると高血圧、ビタミンDを活性化できなくなると骨軟化症の危険性が高まるのです。
近年の研究により、慢性腎臓病の患者さんは、心臓病や脳卒中、下肢動脈の狭窄・閉塞の合併率が高まることが分かっています。さらに、慢性腎臓病の患者さんは、末期腎不全へ進行するよりも心血管疾患で亡くなる危険性のほうが高いことが知られています。
腎機能が低下すると、水分や塩分、老廃物が排泄されにくくなります。そのため、進行した慢性腎臓病の患者さんは水分の制限を行います。しかし、夏は暑さから体内の水分量が減りやすくなっています。脱水症状で血液の量が少なくなると、腎臓に送られる血液の量も少なくなります。脱水症状が長く続くと、腎臓の血流量も減って腎細胞がダメージを受け、慢性腎臓病が進行します。
https://365college.press/special-feature/tounyoujinzou/296
まさに、夏の酷暑による慢性的な脱水状態は、腎臓にとってとても過酷な状態だったということになります。
腎臓を労ってあげないといけませんね。
体内の尿毒素を排泄している腎臓と同じように、体内の不要物を排泄する働きを担っているのが腸です。
近年の研究によって、腸内環境と腎機能が密接に関係していることが明らかになってきました。
人間の腸内には数100兆個もの細菌がすみついているといわれています。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、そして両者の強いほうに味方をする日和見菌の3種類に分けることができ、腸内では常に主導権争いをしています。
善玉菌が優勢であれば、腸内環境は良好に保たれます。しかし、偏った食生活や便秘などが原因で悪玉菌が優勢になると、体に悪影響を及ぼす物質が作り出されます。
問題なのは、悪玉菌によって作り出される有害物質が、腎臓にも悪影響を及ぼすことです。
https://365college.press/special-feature/tounyoujinzou/296
腎臓だけをケアするよりも、腸内環境と合わせてケアしてあげることが大切だということが分かりました。
悪影響のしくみについては、次のように書かれていました。
有害物質の1つに、インドキシル硫酸があります。食べ物に含まれるたんぱく質は、腸管内で分解されてアミノ酸になります。
腸内環境が悪化して優勢になった悪玉菌が必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)の1つであるトリプトファンを分解すると、インドールという有害物質が作られます。
腸で吸収されたインドールは血液によって肝臓に届けられ、代謝されてインドキシル硫酸に変化し、血流に乗って腎臓にたどり着きます。
健康な腎臓であれば、インドキシル硫酸を問題なく排泄することができます。しかし、腎機能が低下していると、排泄できなかったインドキシル硫酸が腎臓に蓄積していき、活性酸素や炎症物質を作り出して腎臓を傷つけ、腎機能をさらに低下させてしまうのです。
腸内環境と腎臓の密接な関係は、医学的に「腸腎連関」と呼ばれています。腸内環境を良好に保つことが、すなわち腎機能を守ることにつながるのです。
https://365college.press/special-feature/tounyoujinzou/296
腎臓と腸だけでなく、肝臓も登場してきました。肝腎要めの肝臓と腎臓、そして腸。どれも連動しているということですね。
夏の終わりの重だるい疲れ。内臓の疲れからくるのかもしれませんね。
動物性脂肪と腎機能
夏の酷暑による脱水状態だけでなく、腎機能が低下する原因はほかにもいろいろあります。
特に注目したいのは、日常的な動物性脂肪のとりすぎです。
医療法人花音会みうらクリニック院長(三浦直樹氏)の記事を参考にしました。
動物性脂肪は、牛肉や豚肉などの食肉や、バターや牛乳といった、乳製品に多く含まれています。
動物性脂肪をとりすぎると、血管に脂肪がたまって、やがて動脈硬化を引き起こしてしまいます。
特にもともと細い毛細血管は詰まりやすいです。
また腎機能が低下すると、むくみ、冷え、頻尿や無尿といった排尿の障害が起こります。
東洋医学では、腎機能が低下すると副腎機能も低下すると考えます。
副腎はホルモンを産生する臓器なので、その機能が衰えると、ホルモンバランスが乱れ、女性なら子宮や卵巣、男性なら前立腺に問題が生じます。性欲減退、勃起障害、無月経など様々な症状が現れます。
腎臓は骨、髪の毛、耳にも関係しているため、骨粗鬆症や脱毛、耳鳴り、難聴といった不調につながる可能性もあります。
そこで、動物性脂肪のとりすぎによる腎機能低下の改善にお勧めするのが、「切り干し大根スープ」です。
大根には、体の中の古い脂肪を溶かし、排出する作用があります。なかでも大根は、天日に干すと、体の細胞を引き締める効果が強くなります。
これによって、体の奥にたまった脂肪を絞り出す効果があるのです。血管にこびりついた古い脂肪が取り除かれれば、腎機能が高まり、前述したような不調も改善することが期待できます。
また、生の大根が体を冷やしやすいのに対し、天日に当てている切り干し大根は体を冷やしにくいのも、冷えに弱い腎臓にとってうれしい点です。
天日に当てることで、ビタミンDをはじめとする各種ビタミン、カルシウムや鉄分などのミネラルも増えます。骨粗鬆症や貧血の予防・改善にも有効といえるでしょう。
https://tokusengai.com/_ct/17297415
天日干しであることが大切です。最近は工場のボイラーで急速に乾燥させてしまう切干大根もありますので、天日干しと書かれたものを選びたいですね。


大根の栄養・効能
合わせて、大根の栄養と効能をまとめておきたいと思います。
実は、大根は、空気の乾燥しやすい秋冬に食べたい食材の一つです。
先に、切干大根で夏の酷暑と動物性脂肪による疲れを吹き飛ばしてしまおう!と紹介しましたが、大根は秋冬の季節に移行しても活躍してくれます。
空気が乾燥すると、のどや肺も乾いて熱を帯びます。咳や痰、喘息などの呼吸器疾患が増え、インフルエンザが流行します。
呼吸器の粘膜が乾いて、ウイルスが繁殖しやすくなるからです。最近はインフルエンザだけではなく、新コロナウイルスにも気を付けなくてはなりませんから、大根はこうした症状の予防に大活躍してくれると思います。
もう一つ、胃腸の働きを高めて、消化を助けてくれる効能があります。食中毒を防いでくれます。
栄養学的にも、ジアスターゼなどの消化酵素が豊富で、でんぷんの分解を促して胃もたれを改善してくれるといわれています。
刺身や焼き魚に大根を添えるのも、魚の臭みや毒を消して、消化を促してくれるからです。
腸内でタンパク質が異常発酵するのを防いでくれるので、腸内環境にも効果があります。
大根は食べる風邪薬にもなり、消化薬にもなります。
大根の消化酵素ですが、熱に弱いのが特徴です。
生のおろし汁は、熱をとり、炎症を抑える効果があるので、おろし汁で口をすすぐと、歯茎の腫れや口内炎にも効果があります。
ただし、大根は生で食べると体を冷やし、煮て食べると温性に変わります。
大根おろしは、体を冷やす性質。体を温めるもの(ネギやショウガなど)と一緒にとるようにしたいですね。
大根は 甘辛く温 気を下す 食を消しつつ 痰を去るなり
江戸時代の「和歌食物本草」の句です。
大根は味は甘辛く、その性質は温性であり、気分を落ち着かせ、食物の消化をよくし、痰を取り去る働きがある
という意味です。
これは、大根を煮て食べるときの和歌ですね。
そのときの状態に合わせて、料理を変えてみるといいと思います。
大根をおいしくいただく
干し大根の種類はいろいろ
いろいろな種類の干し大根があります。
あこがれるのは、次の写真のような干し大根です。宮城県ではへそ大根というのが有名だそうです。
とても寒い地域でないと作ることができません。


次のような干し大根も厚みがあるので、ある程度気温が下がってこないと乾く前にカビてしまいます。


普通の千切りスライサーで大根を千切りにして広げて干すととても細い切干大根になります。これならば、すぐに乾きますので、気温が高い時期でも自家製の切干大根が簡単に作れます。季節を問わず作ることができるのでおすすめです。
切干大根スープ
三浦直樹(みうらクリニック院長)がおすすめしている切干大根スープです。風味があっておいしいです。
【用意するもの】
・切り干し大根(天日干しのもの)…10g
・水…2カップ(400ml)
【作り方】
1 切り干し大根を2カップの水で戻す。
2 1の切り干し大根をざるでこして、戻し汁だけを取り出す。切り干し大根が吸って水が減っているので、2カップ分になるよう戻し汁に水(分量外)を加える。
3 水で戻した切り干し大根をみじん切りにして、戻し汁と一緒に鍋の中に入れる。
4 弱火で15分ほどクツクツと煮る。
5 ざるで切り干し大根をこして、コーヒーカップ1杯分(約120ml)を、空腹時によくかむようにして飲む。
※こした切り干し大根は、別途調理します。
それでは、happyベジタブルな毎日をお過ごしくださいませ。